中小企業のOfferBox運用|第一志望に選ばれる理由を作る
中小企業。業界の中では知られているが、学生には知られていない。採用担当は総務や経営企画と兼務。OfferBoxで送ると承認は付くが、内定を出したあとに「大手の結果が出るまで待ってほしい」と言われ、待った末に辞退される。「中小企業は大手の滑り止め」という学生の印象を、自社も半ば受け入れていて、文面が「大手にはない魅力」の言い訳になっている。結論から言うと、中小企業のOfferBoxで最初に決めるのは、「大手の滑り止め」ではなく「第一志望として選ぶ理由」を文面で作ることです。業界での位置を数値ではなく取引先と仕事で書き、経営者との距離を場面で見せ、内定承諾の期限を大手の結果待ちに合わせて設計し、承認の理由を面談で聞いて「自分に来た」学生を見分けます。 この記事では、中小企業が割ける時間と人、学生の印象をどう変えるか、最初に決めること、文面の書き方、内定承諾の設計、分担、やりがちな失敗を整理します。規模ごとの運用は従業員百名規模の会社のOfferBox運用と従業員三百名規模の会社のOfferBox運用、知名度がない会社の届き方は知名度がない会社がOfferBoxで学生に届くにはで書きました。数値は書きません。
この規模で割ける時間と人
| 状況 | 起きること |
|---|---|
| 採用担当が総務や経営企画と兼務 | 採用の時間が細切れ。承認への当日返信が落ちる |
| 業界内では知られているが、学生には知られていない | 会社紹介から始める文面になり、学生には「知らない会社」のまま |
| 大手と同じ時期に、同じ学生に会う | 内定の時期が大手と重なり、「結果待ち」で承諾が遅れる |
| 「中小企業らしさ」を文面の中心に置く | 「大手にはない」の言い訳に読まれる |
| 経営者が採用に関わる | 距離の近さが強みになるが、場面で見せないと「ワンマン」と読まれる |
| 承認が付くと安心してしまう | 「とりあえず承認」の学生が含まれていて、面談で分かる |
中小企業がOfferBoxに割ける時間は、兼務の担当の細切れの時間です。検索・下書き・送信・一次返信を外に出し、担当の時間を「承認の理由を聞く面談の設定」と「内定承諾の設計」に使います。
学生の印象を、どう変えるか
- 学生の多くは、中小企業を「大手に落ちたら」の受け皿として見ている:これは前提で、文面で否定しても変わらない
- 変えられるのは、「この会社を第一志望にする理由」が文面にあるか:「大手にはない」ではなく、「この会社にしかない」
- 「この会社にしかない」は、規模の言葉(裁量、距離、アットホーム)ではなく、仕事と取引先と人で:「〇〇の業界で△△を作っているのは、うちを含めて数社」「□□の取引先と、最初の年から直接やり取りする」
- 承認の理由を面談で聞くと、「自分に来た」学生と「とりあえず承認」の学生が分かれる:前者は第一志望になり得る。後者は大手の結果待ち
- 「とりあえず承認」の学生を責めない:中小企業への承認は、「話を聞いてみよう」が多い。面談で理由を作る
エージェントベストの見解
相談で最も多い思い込みは、「中小企業への承認は、大手の滑り止めだから、面談まで来ても本気ではない」というものです。当社は3媒体すべての販売パートナーとして、OfferBoxの運用代行を受けているので、中小企業の承認の理由を面談で聞く機会が多くありますが、「自分の〇〇の経験を読んで送ってくれたのはこの会社だけだった」「取引先の△△と仕事ができると書いてあった」という理由が、想像より多く出てきます。滑り止めとして承認する学生もいますが、「自分に来た」で承認する学生もいて、両方が混ざっています。混ざっているのに、会社の側が「どうせ滑り止め」と構えると、後者の学生にも距離を置いた面談をして、第一志望になり得た学生を失います。当社が中小企業の面談で最初に決めてもらうのは、「なぜ承認したか」を聞くことで、その答えで、時間をかける学生と、大手の結果を待つ学生を分けます。
最初に決めること
- 「この会社にしかない」を、仕事と取引先と人で一行にする:規模の言葉を使わない。「〇〇の取引先と、最初の年から直接やり取りする」「△△を自社で一貫して作っている」
- 業界での位置を、数値ではなく取引先と仕事で書く:シェアや売上の数値ではなく、「誰の、何を、どう支えているか」。数値は公表している事実だけを確認して。この記事では書かない
- 経営者との距離を、場面で見せる:「社長が近い」ではなく、「最近、若手の提案で〇〇を変えた」の場面。名義を経営者にするか若手にするかは会社の状態で。同族・オーナー企業のOfferBox運用
- 承認の理由を、面談の最初に聞く:「文面のどこを見て承認しましたか」。「自分に来た」学生に時間をかける。OfferBox経由の学生との初回面談の設計
- 内定承諾の期限を、大手の結果待ちに合わせて設計する:後述
- 名義は、現場の若手:「新卒で入って、こう育った」が書ける人。OfferBoxの運用に現場社員を巻き込む方法
- 承認への当日返信を、兼務の担当から切り離す:OfferBoxでオファーが承認されたあとの連絡手順
文面の書き方|「大手にはない」ではなく「この会社にしかない」
| 書かない | 書く |
|---|---|
| 「大手にはない裁量」「中小企業ならではの距離」 | 「〇〇の取引先と、最初の年から直接やり取りします」 |
| 「業界トップクラス」「シェア」の数値 | 誰の、何を、どう支えているか。取引先の業種と仕事の中身 |
| 「社長が近い」「風通しがよい」 | 若手の提案で最近変わったことの場面 |
| 「安定した経営基盤」 | 何年、誰に、何を届け続けているか。数値でなく事実で |
| 大手と比べる表現 | 自社の仕事の場面。比べない |
- 「この会社にしかない」を、文面の最初の一文に:会社紹介ではなく、その一文から
- 名義の若手が、最初の年に取引先とどう関わったかを一場面:中小企業の若手は、最初の年から取引先に出ることが多い。その具体が、大手との違い
- 文面の基本:OfferBoxのオファー文面の基本。条件は採用サイトに。OfferBoxと採用サイトの役割分担
内定承諾の期限を、大手の結果待ちに合わせて設計する
- 「大手の結果が出るまで待ってほしい」は、必ずしも辞退の前触れではない:待つ期間と、待つ間に何をするかを決めておく
- 承諾の期限を、学生の大手の選考の時期を聞いてから置く:一律の期限ではなく、「〇〇の結果が出る△日後まで」
- 待つ間に、会う機会を作る:教わる人と組む人に会ってもらう、現場を見てもらう。「待たされている」ではなく「知っていく」時間にする
- 期限を過ぎたら、聞く:「結果はどうでしたか。うちをどう考えていますか」。曖昧に待ち続けない
- 辞退の理由を、「大手に決めた」で終わらせない:「何が決め手だったか」まで聞き、翌年の文面に。OfferBox経由の内定辞退が続くときに見直すこと
- 内定のあとのフォロー:OfferBoxで内定を出したあとのフォロー
運用の分担
| 作業 | 誰が |
|---|---|
| 「この会社にしかない」の一行 | 経営者と現場の責任者 |
| 「こんな人」の一行と検索条件 | 採用担当と現場 |
| 検索、文面の下書き、送信、一次返信 | 採用担当、または代行 |
| 文面の最終確認、名義、面談 | 現場の若手 |
| 承認の理由を面談で聞き、台帳に残す | 面談に出る人 |
| 内定承諾の期限の設計と、待つ間の機会づくり | 採用担当と経営者 |
| 辞退の理由を「決め手」まで聞く | 採用担当 |
| 経営者が面談に出る段の決定 | 経営者 |
- 兼務の担当は、検索・下書き・送信・一次返信を外に出し、面談の設定と承諾の設計に絞る:OfferBoxの運用代行に任せられる範囲と自社で持つ判断
- 承認の理由の列を、台帳に持つ:「自分に来た」と「とりあえず」を分けて、翌年の送る相手に活かす。OfferBoxと採用管理システム(ATS)の連携の考え方
運用代行や代理店が支えられるのは、「この会社にしかない」の型、文面の型、検索・下書き・送信・一次返信、承諾の期限の設計の型、台帳の型までで、一行の決定、名義の選定、面談で理由を聞くこと、承諾の期限の判断、辞退の理由を聞くことは企業が行います。代理店の代行の範囲は代理店に運用まで頼めるかで書きました。
エージェントベストの見解
内定を出したあと、最初の年で起きることに共通するのは、「大手の結果が出るまで待ってほしい」と言われ、期限を決めずに待ち、結果が出たあとに辞退されることです。当社はOfferBoxの運用代行を受けているので、中小企業の内定から承諾までの日数と結果を見ていますが、待つ期間を決めず、待つ間に会う機会も作らなかった会社は、学生が「待たされている」まま大手の結果を受け取り、比べる材料が「内定をもらった順」しかありません。当社が中小企業に勧めているのは、待つこと自体は受け入れて、「〇〇の結果が出る△日後まで」と期限を置き、待つ間に教わる人と組む人に会ってもらい、現場を見てもらうことです。待つ間に知った会社と、まだよく知らない大手を比べる形になると、承諾は増えます。期限を置かない優しさは、学生には「本気で採る気がない」と読まれます。
やりがちな失敗
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「大手にはない」で文面を書く | 言い訳に読まれ、第一志望の理由にならない | 「この会社にしかない」を仕事と取引先で |
| 承認の理由を聞かない | 「自分に来た」学生と「とりあえず」が混ざったまま | 面談の最初に聞く |
| 業界での位置を数値で書く | 確認できない数値は書けず、書いても学生に響かない | 取引先と仕事で |
| 承諾の期限を決めずに待つ | 結果が出たあとに辞退される | 期限と、待つ間の機会を |
| 「どうせ滑り止め」と構えて面談する | 第一志望になり得た学生を失う | 理由を聞いてから時間をかける |
最も多いのは、一つ目です。中小企業であることを弱みとして受け入れ、文面が「大手にはない」の言い訳になります。
まとめ
- 中小企業のOfferBoxは、「大手の滑り止め」ではなく「第一志望として選ぶ理由」を文面で作ることから始める。「大手にはない」ではなく「この会社にしかない」
- 業界での位置は数値ではなく取引先と仕事で。経営者との距離は場面で。名義は現場の若手で、最初の年に取引先とどう関わったかを一場面
- 承認の理由を面談の最初に聞き、「自分に来た」学生と「とりあえず」の学生を分けて、時間のかけ方を変える
- 内定承諾の期限を、大手の結果の時期を聞いてから置き、待つ間に教わる人と組む人に会ってもらう。期限を置かずに待たない
- 兼務の担当は検索・下書き・送信・一次返信を外に出し、面談の設定と承諾の設計に絞る。辞退の理由を「決め手」まで聞く
よくある質問
「大手の結果が出るまで待ってほしい」と言われました。待つべきですか
待って構いませんが、期限を置きます。「〇〇の結果が出るのはいつですか。その△日後までにお返事をいただけますか」と聞き、待つ間に教わる人と組む人に会ってもらいます。期限を置かずに待つと、学生は「待たされている」と感じ、大手の結果だけで決めます。期限と機会を置くと、待つ間に知った会社として比べられます。
業界での位置を書きたいのですが、数値の確認が取れません
数値は書かなくて構いません。「〇〇の業界で、△△の取引先に、□□を届けている」「◇◇を自社で一貫して作っている会社は、業界に数社」のように、取引先の業種と仕事の中身で書きます。学生は、シェアの数値より、「誰の何を支えている会社か」で、第一志望の理由を作ります。
中小企業のOfferBox運用は、御社に相談できますか
できます。当社は、「この会社にしかない」の型、文面の型、検索・下書き・送信・一次返信、承諾の期限の設計の型、台帳の型を支えられます。一行の決定、名義の選定、面談で理由を聞くこと、承諾の期限の判断、辞退の理由を聞くことは、企業が行ってください。当社はOfferBox・Wantedly・ワンキャリアの販売パートナーとして、OfferBoxの運用代行も受けています。3媒体の全体像は3媒体の違いと選び方にまとめています。
あわせて読みたい
- OfferBoxの費用費用の形が媒体掲載型とは違うため、社内の稟議の書き方も変わる。
- ダイレクトリクルーティング求人を出して待つのではなく、こちらから個別に声をかける採用手法。
- スカウト運用のKPI送信数だけを追うと文面の質が落ちる。
- 通年採用・秋採用春に採り切れなかった枠を秋以降で埋める会社は増えている。
- 多様な人材の受け入れ新卒だけで人員計画を組めない地域では、対象を広げる判断が現実的になる。
- 人口減少と採用母集団が構造的に減る前提で、採用以外の手段も含めて人員計画を考える必要がある。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964
相談無料 / OfferBox運用代行(完全成果報酬型)
OfferBoxの運用、ひとりで抱えていませんか
- 検索条件・オファー文面・承認後の面談まで、いまの運用を一緒に点検します
- 運用代行は入社承諾時のみ課金の完全成果報酬(1名20万円)
- これから始める場合も、導入前の設計からご相談いただけます
OfferBoxの運用の他の記事
- OfferBoxの運用|地方の中小企業が押さえる基本 OfferBoxの運用について、地方の中小・中堅企業が新卒採用で押さえておくべき基本と、最初にやることを整理しました。
- 初めて新卒採用をする会社のOfferBox運用|初年度は型を残す 初めて新卒採用をする会社のOfferBox運用では、初年度の目標を「何人採る」ではなく「型を残す」に置きます。割ける時間と人、新卒を採る理由の経営との合意、中途との違い、内定後フォローの決め方を整理します。
- OfferBoxの運用|着手前のチェックリスト OfferBoxの運用に取り組む前に、自社がどこまで決まっているかを点検するための確認項目をまとめました。
- 人事1人でOfferBoxを回す週の設計|曜日で作業を分ける 人事1人でOfferBoxを回すときは、週の時間を固定して曜日で作業を分け、送る数を面談枠から逆算します。テンプレートを厚くする考え方、現場に頼むことを名義と面談に絞る方法など6つの手順を整理します。
- OfferBox運用のKPI設計|毎週見る数と日数の決め方 OfferBox運用のKPIは、止まっている場所を見つけるために置き、週次は率ではなく段階ごとの数と日数を見ます。率を月次で置き直す方法、送信計画から引く目標値、見ない数字の決め方と記録の型を解説します。
- OfferBoxの運用|よくある失敗と避け方 OfferBoxの運用に取り組むときに陥りやすい失敗を整理し、それぞれの避け方をまとめました。