内定辞退の分析方法|翌年に直す一つを選ぶ手順
内定辞退を分析したい。ところが、辞退した学生の一覧を眺めて「今年は他社が多かった」で終わり、一人の事情を「今年の傾向」と一般化し、数が少ないのに率を出して一人で大きく動き、出てきた課題を全部直そうとして、翌年に何も変わらない。結論から言うと、分析は「辞退した学生の一覧を眺める」ことではなく、台帳を「五つの理由 × いつ決めたか × 入口 × 面接官」で並べ替え、承諾した学生の「迷った理由」と重ね、翌年に直す場所を一つ選ぶまでの手順です。数が少ない会社は率を出さず、辞退した一人ひとりの「いつ・何で・誰と」を並べて読みます。分析で起きる失敗は、個別の事情を一般化する・少ない数で率を出す・全部を直そうとする・分析の会議で終わる、です。分析の場は年に一度、辞退の台帳と承諾率の三つの表と面接官の記録を同じ机に並べ、出るのは「翌年に直す一つ」の一文だけです。 理由の分け方は内定辞退の理由の分け方、率の見方は内定承諾率の見方で書きました。この記事は、材料を並べて一つを選ぶ手順を書きます。
この作業の目的|「今年は他社が多かった」を、「翌年に直す一つ」に変える
分析の目的は、辞退の原因を言い当てることではなく、翌年の運用のどこを一つ変えるかを決めることです。原因を言い当てても、変える場所が決まらなければ、翌年に同じ辞退が出ます。
目的は、辞退の台帳を「眺めるもの」から「並べ替えて一つを選ぶもの」に変えることです。
辞退の分析で、起きる失敗
| 失敗 | 何が起きるか |
|---|---|
| 一覧を眺めて終わる | 「他社が多かった」の印象で終わり、直す場所が出ない |
| 個別の事情を一般化する | 一人の「親の反対」を「今年は親の反対が多い」と読み、保護者対応に走る |
| 少ない数で率を出す | 一人の辞退で率が大きく動き、傾向に見える |
| 全部を直そうとする | 課題が五つ出て五つとも直そうとし、どれも直らない |
| 承諾した学生を見ない | 「迷ったが承諾した」理由が消え、翌年の辞退を予測できない |
| 分析の会議で終わる | 「来年は気を付ける」で終わり、誰が何をいつ変えるかが決まらない |
共通するのは、分析を「原因の特定」で終えていて、「翌年に変える一つの決定」まで進めていないことです。
分析の材料は、五つ
| 材料 | 何が入っているか | 出どころ |
|---|---|---|
| 辞退の台帳 | 一人ずつの「五つの理由・いつ決めたか・入口・面接官・学生の言葉」 | 内定辞退の理由の分け方 |
| 承諾した学生の「迷った理由」 | 承諾したが迷った箇所。同じ型で | 承諾期限の前の面談、内定者との面談 |
| 承諾率の三つの表 | 入口ごと・時期ごと・理由ごとの承諾・辞退・期限切れ | 内定承諾率の見方 |
| 面接官の記録 | 面接官ごとの辞退の数、学生から聞いた面接官の言葉 | 面接で辞退を減らす方法 |
| 返事の日数 | 各段(入口→面談→一次→二次→内定→承諾)の日数 | 選考の台帳 |
五つを同じ机に並べます。辞退の台帳だけを見ると、辞退した学生の側の事情に見え、承諾率の表と面接官の記録と返事の日数を重ねると、会社の側の直す場所が見えます。
エージェントベストの見解
相談で最も多い思い込みは、「辞退の分析は、辞退した学生の理由を集めて分類すれば終わる」というものです。当社は3媒体すべての販売パートナーとして、多くの会社の辞退の分析を見ていますが、辞退した学生の理由だけを分類した分析は、「他社」「条件」「親」に集まり、会社の側の直す場所が出ません。辞退した学生の理由は、学生の側の言葉で、会社の側の何がそれを生んだかは、承諾率の表と面接官の記録と返事の日数を重ねて初めて見えます。「他社に決めた」学生が、二次面接の後に一週間返事を待たされていた。「条件」で辞退した学生が、内定まで条件を聞かされていなかった。「親の反対」の学生が、入口の文面で勤務地を読めていなかった。重ねると、学生の側の理由が、会社の側の直す場所に変わります。当社が最初にお願いするのは、辞退の台帳を単独で見ず、承諾率の三つの表と、面接官の記録と、返事の日数を同じ机に並べることです。並べる材料が揃っていない会社は、揃えることが最初の分析です。
並べ替えの、四つの軸
| 軸 | 何を見るか | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 五つの理由 | 入口のずれ・選考中の印象・内定後の間・条件・他社のどこに集まるか | 直す場所の種類(文面・面接官・内定後の接点・条件の伝え方・期限) |
| いつ決めたか | 面接の日・内定の連絡の日・承諾期限の前・他社の内定が出た日 | 選考中か内定後か。「他社」でも面接の日に決めていたなら選考中 |
| 入口 | スカウト・掲載・イベント・大学・リファラル | どの入口の学生が辞退するか。文面と絞り方を直す入口 |
| 面接官 | 誰が面接した学生が辞退したか | 面接官の言葉。同じ面接官に集まるなら、その言葉を聞く |
四つの軸で並べ替えると、「掲載の入口で、面接の日に決めていて、〇〇が面接官で、選考中の印象」のように、一文で言えます。一文で言えたものが、直す場所です。
数が少ないときの、読み方
- 率を出さない:内定が少ない会社では、一人で率が大きく動く。数で見る
- 一人ひとりを、四つの軸で並べる:「Aさん:掲載・面接の日・〇〇面接官・選考中の印象」「Bさん:スカウト・承諾期限の前・△△面接官・内定後の間」
- 共通する軸を、探す:二人以上で同じ軸が重なれば、そこが直す場所の候補。一人だけなら、個別の事情として記録に残し、一般化しない
- 承諾した学生の「迷った理由」を、同じ軸で並べる:辞退した学生と承諾した学生で同じ軸が重なれば、翌年に辞退が出る場所
- 前年の並びと、重ねる:一年で二人でも、二年で同じ軸に四人なら、傾向
数が少ないほど、率より「一人の理由」が直す場所を正確に示します。
翌年に直す一つを、選ぶ会議
- 年に一度、承諾期限の後に:辞退が出揃ってから。年度の途中で分析すると、材料が足りない
- 五つの材料を、同じ机に:辞退の台帳、承諾者の迷った理由、承諾率の三つの表、面接官の記録、返事の日数
- 四つの軸で並べ替えた一文を、出す:「〇〇の入口で、△△の時期に決めていて、□□の理由」
- 直す場所の候補を、三つまでに絞る:全部を出さない
- 三つから、一つを選ぶ:選ぶ基準は「最も多い」より「翌年に変えられる」。面接官の言葉は変えられ、他社の締切は変えられない
- 一つについて、「誰が・何を・いつまでに」を決める:「入口の文面に勤務地を先に書く。人事が、〇月までに」
- 出るのは、一文だけ:会議の記録は、この一文と、候補の三つと、選ばなかった理由
一文が出ない会議は、分析ではなく報告です。
直した後の、確かめ方
- 翌年の台帳で、直した軸の数を見る:「選考中の印象」を直したなら、翌年の「選考中の印象」の辞退が減ったか
- 承認・エントリーの数と、並べて見る:入口を直すと数は減る。減った数と、減った辞退を並べる。内定承諾率の見方
- 直した一つの外の軸が、増えていないか:一つを直すと、別の軸が見えることがある。翌年の候補
- 直した一つを、二年続ける:一年で判断せず、二年の並びで見る
- 直した一つを、次の年の会議の最初に置く:「去年直したのは〇〇。結果は△△」から始める
直した後を確かめない分析は、翌年に同じ候補が出ます。
媒体ごとに、変わる点
- OfferBox:入口の軸で、オファーの文面の型ごと(名義・読んだ一文)にさらに並べると、文面の効果が辞退で見える。OfferBox経由の内定辞退が続くとき
- Wantedly:どの記事を読んで来たかで並べると、記事ごとの辞退が見える。Wantedly経由の内定辞退が続くとき
- ワンキャリア:体験談で読んだ選考と実際の選考の差が、「選考中の印象」の中身になる。体験談のどこを読んだかを軸に足す。ワンキャリア経由の内定辞退が続くとき
三つとも、四つの軸は同じで、入口の軸の中のさらに細かい並べ方が違います。
社内の分担
| 作業 | 誰が |
|---|---|
| 五つの材料を揃える | 人事。年間を通して |
| 四つの軸で並べ替える | 人事。会議の前に |
| 会議を開き、候補を三つに絞り、一つを選ぶ | 採用の責任者 |
| 「誰が・何を・いつまでに」を決める | 採用の責任者と、直す場所の担当(人事・配属先の責任者・面接官) |
| 直した後の確かめ | 人事。翌年の台帳で |
| 経営への報告 | 採用の責任者。一文と、候補の三つと、選ばなかった理由 |
運用代行や代理店が支えられるのは、台帳の型、並べ替えの型、会議の型までで、材料を揃えること、一つを選ぶこと、直すことは社内が担います。
エージェントベストの見解
辞退の分析で、当社が先にお伝えしているのは、「一つを選ぶ基準は『最も多い理由』ではなく『翌年に変えられるもの』」だということです。申し込んだあとに分析が翌年の運用に効かない会社に共通するのは、最も多い「他社との比較」を選び、「知名度を上げる」「条件を上げる」と決めて、どちらも翌年には変えられず、分析が絵に描いた餅で終わることです。当社が案内するのは、候補の三つを「変えられる順」に並べ直すことです。面接官の言葉は、一枚を渡せば翌年に変えられます。返事の日数は、人事が期限を持てば変えられます。入口の文面は、書き直せば変えられます。他社の締切と知名度は、翌年には変えられません。最も多い理由が変えられないものなら、二番目に多くて変えられるものを選びます。変えられるものを一つ変えて、翌年の台帳でその軸の数が減ることが、分析が効いた証拠です。
まとめ
- 分析は「一覧を眺める」ことではなく、五つの材料(辞退の台帳・承諾者の迷った理由・承諾率の三つの表・面接官の記録・返事の日数)を同じ机に並べ、四つの軸(理由×いつ×入口×面接官)で並べ替えて、一文にする手順
- 数が少ない会社は率を出さず、一人ひとりを四つの軸で並べ、二人以上で重なる軸を探す。一人だけなら一般化しない
- 会議は年に一度、承諾期限の後。候補を三つに絞り、「翌年に変えられる」基準で一つを選び、「誰が・何を・いつまでに」を決める。出るのは一文だけ
- 直した後は、翌年の台帳でその軸の数を見て、承認・エントリーの数と並べ、二年続ける
- 最も多い理由が変えられないものなら、二番目に多くて変えられるものを選ぶ
よくある質問
辞退が一人しかいません。分析する意味はありますか
率は出せませんが、その一人の「いつ・何で・誰と」を四つの軸で残す意味はあります。承諾した学生の「迷った理由」を同じ軸で並べ、重なる軸があれば、翌年に辞退が出る場所です。一人の辞退と、承諾者の迷いを重ねることが、数が少ない会社の分析です。
分析の会議で、経営が「知名度を上げろ」「条件を上げろ」と言います
「他社との比較」が最も多いときに出る結論ですが、翌年には変えられません。会議の候補を「変えられる順」に並べ直し、「知名度と条件は中期の課題として別に持ち、翌年に変えられる〇〇を一つ直す」と分けます。変えられないものを候補から外すのではなく、期間を分けることで、経営の関心を残したまま、翌年の一つを決められます。
内定辞退の分析は、御社に相談できますか
できます。当社は、台帳の型、並べ替えの型、会議の型を支えられます。材料を揃えること、一つを選ぶこと、直すことは、社内で担ってください。当社はOfferBox・Wantedly・ワンキャリアの販売パートナーとして、内定後の運用まで含めて支えています。3媒体の全体像は3媒体の違いと選び方にまとめています。
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この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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