金融(地銀・信金・保険)の面接設計|何を見て、何を伝えるか
採用がうまくいかない会社の多くは、母集団が足りないのではなく、届けたい相手に情報が届いていない。掲載して待つ設計のままでは、この距離は縮まらない。
各段階で何を判断するかを決める
回数を増減させる前に、段階ごとの役割を決めたい。決まっていない面接は、どれだけ重ねても同じ話の繰り返しになる。
金融(地銀・信金・保険)であれば、一次で仕事への適性と勤務条件の確認、二次で職種ごとの資質、最終で意思の確認、という分け方が組みやすい。
評価がぶれる原因
面接官によって評価が割れる原因は能力ではなく、求める人物像が共有されていないことにある。実在する社員から逆算して像を作ると揃いやすい。
評価項目は4つまでに絞る。増やすほど、面接官は全体の印象で埋めるようになる。
なお、他社がやっているという理由だけで手法を増やすのは避けたい。工数が分散し、どれも中途半端になるほうが採用にとっては痛手になる。
面接で伝えるべきこと
地域経済の担い手という立ち位置は学生に伝わりやすいが、業務の変化が伝わっていない。デジタル化と法人支援の実務を語れると、志望動機の質が上がる。
学生が知りたいのは、入社後の毎日である。仕事の流れ、一緒に働く人、最初の1年で任される範囲。これを面接のなかで伝えられると志望度が動く。
現場の社員を出す
総合職や法人営業として実際に働いている社員が面接に出ると、説明の説得力が変わる。人事が言うと採用トークに聞こえることも、現場が言えば事実として伝わる。
面接官になる社員には、評価の基準と、伝えるべきことの両方を事前に共有しておきたい。準備なしで出すと、雑談で終わる。
金融(地銀・信金・保険)で募集する職種を分けて考える
金融(地銀・信金・保険)が新卒で募集する職種は、総合職、法人営業、事務企画、システムなどに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば総合職とシステムでは、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
地域経済の担い手という立ち位置は学生に伝わりやすいが、業務の変化が伝わっていない。デジタル化と法人支援の実務を語れると、志望動機の質が上がる。
よくある誤解
「条件を良くすれば採れる」という考え方も、思ったほど当たらない。初任給は応募するかどうかの入口では強く効くが、入社を決める段階では決め手にならないことが多い。入口で足切りされない水準を確保したうえで、決め手は別に用意する設計になる。
「現場は忙しいから採用に関わらせられない」という判断も、結果的に高くつく。現場の社員が面接に出るかどうかで、説明の説得力はまったく違う。人事が言うと採用トークに聞こえることも、現場が言えば事実として伝わる。
「大手と同じ選考フローにしておけば安心」という考え方も見直したい。選考が長いこと自体が辞退の理由になる。回数を減らすのではなく、各段階で何を判断するかを決めることで、自然と適正な長さになる。
自社に当てはめて考える
実行に移す前に、いまの状態を書き出しておきたい。書き出してみると、思っていたより決まっていないことが見つかる。
- 金融(地銀・信金・保険)で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
一つ選んだら、次の採用シーズンが始まる前に片づけておきたい。始まってからでは、日々の対応に追われて手をつけられなくなる。
よくある質問
同業他社と条件で横並びになってしまいます。
条件で並ぶなら、任される範囲で差をつけるしかありません。入社1年目に何を任せるか、3年目に何を任せるかを具体的に書けると、同じ条件でも見え方が変わります。規模が小さいほど、この部分は書きやすいはずです。
インターンをやるべきでしょうか。
目的が決まっているならやる価値があります。認知を広げるためなのか、こちらが見極めるためなのかで、内容も期間も変わります。決めないまま始めると職場見学の域を出ず、工数だけがかかります。
求人票に残業時間まで書く必要がありますか。
書いたほうが結果的に得になります。伏せておくと入社後に跳ね返り、早期離職という形で採用コストに戻ってきます。実態を書いたうえで、会社としてどう向き合っているかを添えるのが扱いやすい形です。
あわせて読みたい
- 機械・精密・電子部品ニッチトップの企業が多い割に、その事実が学生に知られていない。
- 士業・コンサルティング資格取得支援と、未経験からの育成計画をどこまで具体化できるかで応募が決まる。
- 公益法人・団体・自治体関連安定を求める学生が集まりやすい一方、仕事の中身が見えにくい。
- 人事1人の採用体制一人で回す前提なら、手法を増やすより捨てる判断のほうが重要になる。
- 採用計画・採用目標採用人数だけを決めて動き出すと、途中で何を判断すればいいか分からなくなる。
- 福利厚生・働き方制度は数ではなく、実際に使われているかどうかで評価される。
この記事のまとめ
今年の採用で分かったことを、来年の担当者が読める形にして残す。これをやっている会社とやっていない会社の差は、3年も経てば埋めがたいものになる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964
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