採用管理システムでKPIを見る方法|入れる前に確かめる三つ
採用管理システムを入れて、KPIを見たい。ところが、入れれば数が出ると思い、段の名前と入力のルールを決めず、入力が続かない項目をKPIにし、媒体の管理画面の数と足し、システムが出す数をそのまま経営に報告し、別のシステムに移るときに過去の数が切れる。数は出るのに、直す場所が決まりません。結論から言うと、システムが出す数は「入っている情報から出せる数」で、自社が見たい数とは限りません。入れる前に三つを確かめます。見たい四つの数(採用した数・近い人の面談数・各段の日数・一年後に残った数)がこのシステムで出るか。出ないなら何を手で足すか。入力が続く形にできるか。段の名前と入力のルールを先に決めて、全員が同じ場所に同じ形で入れます。入力が続かない項目は、KPIにしません。入っていない情報から数は出ません。媒体の管理画面が出す数(承認、開封、応募)とは数え方が違うので、足さずに別々に見ます。製品の仕様と機能は変わるので、各製品で確認してください。 この記事では、システムで起きる失敗、入れる前に確かめる三つ、段の名前と入力のルール、出る数と手で足す数、媒体の管理画面との違い、移行と運用、一枚の型、分担を整理します。KPIの基本は採用KPIの基本、表計算での管理はスプレッドシートで採用KPIを管理する方法、改善は採用KPIから改善点を見つける方法で書きました。数値と料金は書きません。
この作業の目的|「見たい数が出るか」を、入れる前に確かめる
システムを入れる目的は、応募者の管理と連絡の効率化であることが多く、KPIはその副産物です。KPIを目的にするなら、見たい数が出るかを入れる前に確かめます。入れてから「その数は出ない」と分かると、手で集計する作業が増え、システムを入れた分だけ作業が増える形になります。
システムで、起きる失敗
- 入れれば、数が出ると思う:入っていない情報からは出ない。「近い人か」「断りの理由」は、入力の設計が無いと出ない
- 段の名前と、入力のルールを決めない:人によって「面談」と「一次面接」の使い分けが違い、段の数が合わない
- 入力が続かない項目を、KPIにする:毎回入れる手間が大きい項目は、途中で空欄になる。空欄が増えた数は使えない
- 媒体の管理画面の数と、足す:承認の数と応募の数は数え方が違う。足すと、どちらの数でもない数になる
- システムが出す数を、そのまま報告する:分母と数え方を確かめずに報告すると、経営の判断がずれる
- 移行のときに、過去の数が切れる:前のシステムの数が移らず、前年と比べられなくなる
入れる前に、確かめる三つ
- 見たい四つの数が、このシステムで出るか:採用した数、近い人の面談数、各段の日数、一年後に残った数。採用KPIの基本
- 出ないなら、何を手で足すか:「近いかどうか」の印、断りの理由の区分、一年後の在籍。手で足す項目の数を、入れる前に数える
- 入力が続く形にできるか:誰が、いつ、どこで入れるか。面接の直後にその場で選べる形か
- 三つを確かめる相手は、製品の担当:「この数は出ますか」を具体で聞く。仕様は変わるので各製品で確認
- 手で足す項目が多すぎるなら、システムを変えるか、KPIを減らす:両方を無理に持たない
- 入れる目的が管理と連絡なら、KPIは表計算で持つ選択もある:スプレッドシートで採用KPIを管理する方法
エージェントベストの見解
これは発注側の誤解の話です。システムの相談で、「採用管理システムを入れたので、KPIは自動で出ます」と言われることがあります。出るのは、入っている情報から出せる数です。応募の日、段の移動、内定の日は入るので、数と日数は出ます。出ないのは、「その人が『こんな人』に近かったか」と「断りの理由」と「一年後に残っているか」です。この三つは、入力の設計をしない限り、どのシステムでも出ません。当社がお願いしているのは、システムを入れる前に、この三つをどう入れるかを決めることです。「近いか」は面談の記録に一つ印を付ける、断りの理由は区分から選ぶ、一年後の在籍は人事の台帳と突き合わせる。入れ方を決めれば出ます。決めないまま入れると、数と日数だけが出て、「なぜ減ったか」に答えられない表になります。
段の名前と、入力のルール
- 段の名前を、先に決めて一覧にする:「接点」「面談」「一次面接」「最終面接」「内定」「承諾」「入社」。自社のファネルに合わせる。採用ファネルに置くKPI
- 段の定義を、一行ずつ書く:「面談=選考ではない場。一次面接=判断が入る最初の場」。人によって違う使い方をさせない
- 段を動かすタイミングを、決める:日程が決まったときか、実施したときか。会社で統一する
- 入力する人を、決める:人事か、現場か。両方が入れるなら、どの項目を誰が入れるか
- 入れない項目を、決める:使わない項目を空欄で残すと、どの項目が使われているか分からなくなる
- 入力のルールを、一枚にして共有する:新しく入った人が同じ形で入れられるように
システムで出る数と、手で足す数
| 数 | システムで出ることが多い | 手で足すことが多い |
|---|---|---|
| 各段の人数 | ○ | ― |
| 各段の日数 | ○ | ― |
| 入口ごとの内訳 | ○(入口を入力していれば) | 入口の区分を決めて入れる |
| 近い人かどうか | ― | 面談の記録に印を付ける |
| 断りの理由 | 区分を作れば○ | 区分を先に決める |
| 一年後に残った数 | ― | 人事の台帳と突き合わせる |
| 担当の時間 | ― | 記録する形を別に持つ |
- 手で足す項目を、三つ以内に:多いと続かない
- 手で足す作業を、月に一度の枠に入れる:思い出したときにやらない
- 出る数と手で足す数を、同じ一枚に並べる:別々の場所にあると、月次で見なくなる
- 仕様と機能は製品で違い、変わる:この記事では製品名と機能を書かない。各製品で確認する
媒体の管理画面との、違い
- 数え方が、違う:媒体は「承認」「開封」「応募」を出す。システムは「自社の段に入った人」を出す。同じ人でも、数える場所が違う
- 足さない:媒体の承認と、システムの応募を足すと、どちらの数でもない数になる
- 別々に見る:媒体の数は入口の運用の数、システムの数は選考の数。媒体別のKPI設計
- 媒体からシステムに移す時点を、決める:承認の時点か、面談の日程が決まった時点か。会社で統一する
- 媒体の数を、システムに手で入れるかを決める:入れるなら、入口の区分として。入れないなら、媒体の管理画面で別に見る
- 3媒体(OfferBox・Wantedly・ワンキャリア)で、出る数の種類が違う:媒体をまたいで足さない
移行と、運用
- 移行のときに、過去の数をどう残すかを先に決める:前のシステムから移らない項目を、表計算に書き出して残す
- 前年と比べられる形を、残す:段の名前が変わるなら、対応表を作る
- 移行の時期を、選考期に置かない:入力が止まる。4年生の春に何をするか
- 入力が止まった期間を、記録する:後で数を読むときに、止まった期間が分かるように
- 運用の見直しを、年に一度:使っていない項目を消し、手で足す項目を見直す
- 担当が替わるときに、入力のルールの一枚を渡す:口頭で引き継がない
一枚の型
- 上に、段の名前と定義の一覧、段を動かすタイミング
- 中に、見たい四つの数と、それぞれ「システムで出る/手で足す」の印
- 下に、手で足す項目(三つ以内)と、誰が・いつ入れるか
- 別に、媒体の管理画面で見る数と、システムで見る数の一覧:足さないことを明記
- 欄外に、移行したときの対応表と、入力が止まった期間
社内の分担
| 作業 | 誰が |
|---|---|
| 見たい四つの数が出るかを、製品の担当に確かめる | 人事責任者 |
| 段の名前と定義、動かすタイミングを決める | 人事責任者と現場の責任者 |
| 入力のルールを一枚にして共有する | 人事 |
| 手で足す項目を三つ以内に決め、月に一度入れる | 人事 |
| 面談の記録に「近いか」の印を付ける | 面談に出た人 |
| 断りの理由を区分から選ぶ | 現場と人事 |
| 移行のときに過去の数と対応表を残す | 人事責任者 |
運用代行や代理店が支えられるのは、見たい数の整理、段の定義の型、入力のルールの型、手で足す項目の集計、媒体側の数の整理までで、システムの選定、段の定義の決定、入力の運用、経営への報告は企業が行います。代理店の代行の範囲は代理店に運用まで頼めるかで書きました。
エージェントベストの見解
これは切り分けの話です。システムの相談で、「システムを入れれば、媒体の管理画面を見なくて済みますか」と聞かれることがあります。切り分けると、媒体の管理画面で見るのは入口の運用の数(送った数、開封、承認、応募)で、システムで見るのは選考の数(段の人数、日数、内定、承諾)です。同じ人を、違う場所で、違う数え方で見ています。当社は3媒体すべての販売パートナーとして媒体側の運用を見ていますが、媒体の数をシステムに全部入れることはお勧めしません。入れる手間が続かず、途中で空欄になるからです。媒体の数は媒体の管理画面で、選考の数はシステムで、月に一度それぞれ見て、入口ごとの内訳だけをシステムに残す。この形が、入力が続いて、両方が読めます。全部を一か所に集めようとすると、集める作業で月次の時間が終わります。
まとめ
- システムが出すのは「入っている情報から出せる数」。入れる前に、見たい四つの数が出るか、出ないなら何を手で足すか、入力が続く形かを確かめる
- 「近い人かどうか」「断りの理由」「一年後に残った数」は、入力の設計をしない限り出ない。入れ方(印、区分、台帳との突き合わせ)を先に決める
- 段の名前と定義、動かすタイミング、入力する人を先に決めて一枚にする。入力が続かない項目はKPIにしない。手で足す項目は三つ以内に
- 媒体の管理画面の数とシステムの数は数え方が違う。足さず、別々に見る。媒体の数を全部システムに入れない
- 移行のときは過去の数と段の対応表を残し、移行の時期を選考期に置かない。入力が止まった期間を記録する。製品の仕様と機能は各製品で確認する
よくある質問
入力が続かず、空欄が増えてしまいます
項目が多すぎます。手で足す項目を三つ以内に減らし、入れるタイミングを「面接の直後にその場で選ぶ」形にしてください。自由記述を減らし、区分から選ぶ形にすると続きます。それでも続かないなら、その項目はKPIにせず、必要なときに人に聞く形に変えてください。空欄の多い数を使うより、そのほうが読めます。
システムを入れる前は、KPIを見られませんか
表計算で見られます。見たい四つの数を、月に一度手で集計する形から始めて、続いたらシステムに移すほうが、入れてから設計するより確実です。表計算で続かない項目は、システムに入れても続きません。スプレッドシートで採用KPIを管理する方法で書きました。
採用管理システムでのKPIは、御社に相談できますか
できます。当社は、見たい数の整理、段の定義の型、入力のルールの型、手で足す項目の集計、媒体側の数の整理を支えられます。システムの選定、段の定義の決定、入力の運用、経営への報告は、企業が行ってください。当社はOfferBox・Wantedly・ワンキャリアの販売パートナーとして、3媒体の運用を支えています。3媒体の全体像は3媒体の違いと選び方にまとめています。
あわせて読みたい
- OfferBoxの費用費用の形が媒体掲載型とは違うため、社内の稟議の書き方も変わる。
- 開封率・返信率の改善開封されない原因と、開封されたのに返信がない原因はまったく別。
- 新卒ダイレクトリクルーティング媒体の選び方媒体ごとに学生の層と使い方が違う。
- 人事1人の採用体制一人で回す前提なら、手法を増やすより捨てる判断のほうが重要になる。
- インターンシップインターンは会社を知ってもらう場であると同時に、こちらが学生を見極める場でもある。
- 人口減少と採用母集団が構造的に減る前提で、採用以外の手段も含めて人員計画を考える必要がある。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964
相談無料 / OfferBox運用代行(完全成果報酬型)
OfferBoxの運用、ひとりで抱えていませんか
- 検索条件・オファー文面・承認後の面談まで、いまの運用を一緒に点検します
- 運用代行は入社承諾時のみ課金の完全成果報酬(1名20万円)
- これから始める場合も、導入前の設計からご相談いただけます
応募者管理と選考の可視化の他の記事
- 応募者管理と選考の可視化|進め方と最初の3か月でやること 応募者管理と選考の可視化を立ち上げるとき、何から手をつけ、どの順番で整えていくかを3か月の流れで整理しました。
- 応募者管理と選考の可視化|着手前のチェックリスト 応募者管理と選考の可視化に取り組む前に、自社がどこまで決まっているかを点検するための確認項目をまとめました。
- 応募者管理と選考の可視化|数字の見方と改善の順番 応募者管理と選考の可視化の成果を、送信・開封・返信・面談の段階に分けて見るための考え方をまとめました。
- 応募者管理と選考の可視化|よくある失敗と避け方 応募者管理と選考の可視化に取り組むときに陥りやすい失敗を整理し、それぞれの避け方をまとめました。
- 応募者管理と選考の可視化|かかる工数と続けられる体制 応募者管理と選考の可視化に必要な作業時間を見積もり、担当者の体制に合わせて設計する方法をまとめました。
- 応募者管理と選考の可視化|代行に任せる範囲と、自社に残すこと 応募者管理と選考の可視化を外部に任せるときの切り分けと、任せても自社に残る仕事を整理しました。