大学・学校との関係づくり|地方企業は都市部と前提が違う
採用に割ける人手が限られている会社ほど、手広くやるほど成果が落ちる。絞ったうえで深くやるという判断が、結果的にいちばん現実的な打ち手になる。
前提が違うところから始める
大学・学校との関係づくりについて書かれた情報の多くは、都市部の企業を想定している。学生の母数、通勤の前提、競合の数がそもそも違うので、そのまま当てはめても噛み合わない。
キャリアセンターとの関係は一年では作れない。求人票を出すだけの関係から、学内の行事に関わる関係へ進めるかが鍵になる。
距離という制約
地方企業の採用では、学生との物理的な距離が常についてまわる。説明会に来てもらう、面接に足を運んでもらうという前提が成り立ちにくい。
オンラインで完結できる工程を増やすと、この制約はかなり緩む。対面の代替として使うのではなく、接点の総量を増やす道具として位置づけたい。
なお、制度やサービスの仕様は変わる。この記事の内容は考え方の部分を中心にしているが、具体的な手続きは必ず一次情報で確認してほしい。
暮らしの条件が判断材料になる
地方で働くことの実利は、通勤時間の短さと住居費の低さに集約される。ここは都市部の企業が給与でどれだけ上積みしても追いつけない領域である。
ただし「暮らしやすい」では伝わらない。通勤何分、家賃いくら、休日に何ができるか。ここまで落として初めて判断材料になる。
地方企業として押さえること
大学・学校との関係づくりに取り組むうえで、地方企業がとくに確認しておきたい点を挙げる。
- 学校に持っていく資料が求人票以外に用意されているかどうか
- 過去に採用した卒業生の現在を説明できるかどうか
- 誰がどの学校とつながっているかを社内で共有できているかどうか
- 学内行事への参加を事前・事後まで設計しているかどうか
大学・学校との関係づくりを自社の言葉にする
キャリアセンターとの関係は一年では作れない。求人票を出すだけの関係から、学内の行事に関わる関係へ進めるかが鍵になる。
自社の話に落とすときは、学校に持っていく資料が求人票以外に用意されている、過去に採用した卒業生の現在を説明できる、この二つから確認するのが早い。ここが曖昧なままだと、どの手法を選んでも判断の基準が作れない。
あわせて、誰がどの学校とつながっているかを社内で共有できているも見ておきたい。ここは後回しにされやすいが、翌年に同じ議論を繰り返すかどうかの分かれ目になる。
よくある誤解
「ツールを入れれば解決する」という期待も外れやすい。運用の型ができていない状態でツールを入れると、入力されないまま放置される。まず表計算ソフト一枚で回してみるほうが早い。
「前任者のやり方を踏襲する」のは安全に見えて、実は理由が分からないまま続けることになる。なぜその手法を選んだのかを確認できないなら、いったん前提を置き直したほうがよい。
「学生の質が下がった」という言い方も、原因の特定を止めてしまう。母集団の質は、対象の設定と伝える内容で決まる。集まる層が変わったなら、変えたのは自社の側である可能性が高い。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 学校に持っていく資料が求人票以外に用意されているかどうか
- 過去に採用した卒業生の現在を説明できるかどうか
- 誰がどの学校とつながっているかを社内で共有できているかどうか
- 学内行事への参加を事前・事後まで設計しているかどうか
項目を埋めた結果は記録に残しておく。翌年の担当者が同じところから考え直さずに済むのは、この記録があるかどうかで決まる。
よくある質問
社内で優先度が上がりません。
採用の話を人数の話だけで説明すると、経営層には緊急性が伝わりません。採れなかった場合に何が起きるか(どの業務が回らなくなるか)を配属先と一緒に言語化すると、判断が速くなります。
担当者が代わると引き継げません。
引き継ぎで最も失われるのは、判断の理由です。何をやったかは記録に残っていても、なぜそうしたかが残っていないことが多い。記録には結果だけでなく理由を残しておきたいところです。
去年と同じやり方で本当に大丈夫でしょうか。
去年の結果を数字で説明できるなら、続ける判断に根拠があります。説明できないなら、続けるかどうかの前に、まず数えるところから始めたいところです。
あわせて読みたい
- 知名度に頼らない採用知名度は採用の前提条件ではない。
- 人事1人の採用体制一人で回す前提なら、手法を増やすより捨てる判断のほうが重要になる。
- 外国人材の採用在留資格と職務内容の対応を先に確認しないと、内定後に進められなくなる。
- OfferBoxの費用費用の形が媒体掲載型とは違うため、社内の稟議の書き方も変わる。
- ダイレクトリクルーティング求人を出して待つのではなく、こちらから個別に声をかける採用手法。
- 人口減少と採用母集団が構造的に減る前提で、採用以外の手段も含めて人員計画を考える必要がある。
この記事のまとめ
全部を一度にやる必要はない。この記事のなかで、自社がまだ手をつけていないものを一つだけ選んで、次の採用シーズンの頭に置いてみてほしい。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
株式会社エージェントベスト/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316964
相談無料 / OfferBox運用代行(完全成果報酬型)
採用の課題を、運用の側から一緒に整理しませんか
- 母集団・面談・内定辞退のどこで止まっているかを一緒に切り分けます
- OfferBoxの運用代行は入社承諾時のみ課金の完全成果報酬(1名20万円)
- 人事が1人でも回る形を、ご相談のなかで一緒に考えます
大学・学校との関係づくりの他の記事
- 大学との関係からの母集団形成|場の選び方と続く関係の作り方 大学との関係からの母集団形成は、大学名で選ぶのではなく、「こんな人」がいる研究室・ゼミ・キャリアセンターなどと続く関係を作ることです。起きる失敗、始め方、大学側に返せるもの、続ける形を整理します。
- 大学・学校との関係づくり|うまくいかない原因を切り分ける 大学・学校との関係づくりで成果が出ないとき、原因がどこにあるのかを順番に切り分けるための見方をまとめました。
- 大学・学校との関係づくり|中小企業は絞って深くやる 人員も予算も限られる中小企業が大学・学校との関係づくりに取り組むときの、優先順位のつけ方と現実的な進め方をまとめました。
- 大学・学校との関係づくり|進め方と、何から手をつけるか 大学・学校との関係づくりに着手するときの手順を、準備・実行・振り返りの順に整理しました。
- 大学・学校との関係づくり|よくある失敗と、手を打つ前の確認 大学・学校との関係づくりに取り組むときに陥りやすい失敗を整理し、それぞれの避け方をまとめました。
- 大学・学校との関係づくり|自社の状態を点検するチェックリスト 大学・学校との関係づくりについて、自社がいまどこまでできているかを点検するための確認項目をまとめました。