医療・介護・福祉の新卒が定着する会社にする|採用時点で決まっていること
知名度で大手に勝てないことは、採用の前提として受け入れてよい。問題は、知名度がないこと自体ではなく、知名度がないまま同じ土俵で戦おうとしてしまうことにある。
離職の原因は入社前にある
早期離職が出ると受け入れ側の指導に原因を求めがちだが、実際には採用時に伝えた情報と実際の仕事が違っていたケースが多い。
資格職と総合職で採用の設計がまったく違う。総合職を採るなら、施設の仕事ではなく法人運営の仕事として説明しないと候補者の層が広がらない。
伝えにくいことを伝える
繁忙期の忙しさ、最初の1年で任される範囲の狭さ、配属先の決まり方。伝えると印象が悪くなりそうな情報ほど先に出したい。
事実だけを並べ、それに会社がどう向き合っているかを添える。現場の社員に話してもらうのが最も効く。
ただし、これは一般的な傾向であって、自社の業種・地域・過去の採用実績によって最適解は変わる。数字を持っている会社は、必ず自社の実績を優先して判断してほしい。
配属後の最初の3か月
離職が起きやすいのは最初の3か月である。この期間に何をするかを決めている会社は、そうでない会社より定着率が高い。
医療・介護・福祉の現場では、直属の上司が忙しくて新人と話す時間が取れないことがある。週に一度、別の誰かが話を聞く時間を作るだけでも違う。
辞めた理由を残す
退職理由を残している会社はほとんどない。記録がなければ、同じ原因が翌年も繰り返される。
本人の言葉だけでなく、採用時にどう説明していたかも併せて残す。説明と実態のずれが見えると、採用の直し方が具体になる。
医療・介護・福祉で募集する職種を分けて考える
医療・介護・福祉が新卒で募集する職種は、生活相談員、事務、人事、ケアスタッフなどに分かれる。同じ会社の募集でも、職種が違えば競合も、学生が比較する軸も変わる。
たとえば生活相談員とケアスタッフでは、学生が見ている条件も、入社後に求められる資質も異なる。ひとつの募集要項にまとめると、どちらの層にも届かない文章になりやすい。
資格職と総合職で採用の設計がまったく違う。総合職を採るなら、施設の仕事ではなく法人運営の仕事として説明しないと候補者の層が広がらない。
よくある誤解
「現場は忙しいから採用に関わらせられない」という判断も、結果的に高くつく。現場の社員が面接に出るかどうかで、説明の説得力はまったく違う。人事が言うと採用トークに聞こえることも、現場が言えば事実として伝わる。
「採用サイトにお金をかければ応募が来る」という期待も外れやすい。見た目より、仕事内容・条件・選考の流れ・社員の実例が揃っているかどうかで判断されている。
「学生は安定を求めている」という説明も、言葉が大きすぎる。何をもって安定とするかは人によって違い、事業の継続性を指す人もいれば、勤務地が変わらないことを指す人もいる。
自社に当てはめて考える
記事の内容をそのまま持ち込む必要はない。自社の条件に照らして、次の項目のうちどれが欠けているかを確認するところから始めたい。
- 医療・介護・福祉で募集する職種ごとに、募集要項が分かれているかどうか
- 入社1年目と3年目に任せる範囲が書かれているかどうか
- 勤務地と通勤手段が具体的に書かれているかどうか
- 選考の流れと所要日数を学生に先に伝えているかどうか
埋まっていない項目が多いときほど、全部を一度に片づけたくなる。しかし同時に動かすと、どれが効いたのか分からなくなる。一つずつ変えたい。
よくある質問
求人票に残業時間まで書く必要がありますか。
書いたほうが結果的に得になります。伏せておくと入社後に跳ね返り、早期離職という形で採用コストに戻ってきます。実態を書いたうえで、会社としてどう向き合っているかを添えるのが扱いやすい形です。
技術職と事務職で、採用の進め方は変えるべきですか。
変えたほうがよいです。生活相談員と事務では、学生が比較する相手も、判断の軸も違います。募集要項・接点の作り方・面接で見る項目を、職種ごとに分けて設計したいところです。
配属先を約束してもよいのでしょうか。
約束できるなら、それは強い訴求になります。約束できないなら「どう決まるか」を説明するだけでも不安はかなり減ります。曖昧にしたまま進めると、終盤で辞退の理由になります。
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この記事のまとめ
採用は担当者の努力だけで決まる仕事ではない。経営の意思決定と現場の協力が要る以上、社内で共有できる形に書き出しておくことが先決になる。
この記事は、株式会社エージェントベストが新卒採用の支援で得た知見をもとに構成した実務向けの解説です。特定の企業の事例や、年によって変動する統計値は扱っていません。制度・市況・各サービスの仕様は変わりますので、実際の判断にあたっては一次情報をご確認ください。
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